令和2年度6月定例会*一般質問


6月9日(火)
自由民主・市民クラブ 久保百恵
【一問一答】
1、福祉行政について ・地域集会所整備に対する支援について
2、医療行政について ・小児・AYA世代がん患者への支援対策について
 ア 現状について
 イ 医療提供体制及び療養環境の充実について
 ウ 啓発活動について
 エ 課題について

【壇上質問】
◆9番(久保百恵 君)令和2年度6月定例会に当たり、自由民主・市民クラブの一員といたしまして、発言の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。
 初めに、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々及び御家族、関係者の皆様に対しまして謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。
 当市におきましても、医療従事者の皆様はじめ、小林市長を筆頭に行政として様々対応いただいております市職員の皆様、コロナウイルス感染拡大防止に努め御尽力されていらっしゃる皆様に、私からも深く感謝を申し上げます。
 幸せや豊かさを意味する言葉である福祉は、全ての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を指しており、このたびの新型コロナウイルスの影響や猛威を受け、今後より一層の公的な配慮やサービスが求められてくるものと感じております。また、このたびの新型コロナウイルスの猛威は、身体的な問題のみならず、緊急事態宣言に伴う経済的ダメージは大きく、国民一人一人が不安な日々を過ごしていた中で、特別定額給付金の一律給付に関しては多くの国民が心待ちにし、注目を集めておりました。
 そのような状況の中で、全国主要132自治体の郵送申請による給付事務のスケジュール調査をした、とある全国紙の調査によれば、その最速自治体は青森県八戸市だと取り上げられておりました。職員の皆様が休日を返上して市民のために尽力され、その働きが思いがけないところで全国紙にて結果として取り上げられたことは、一市民として喜ばしく、誇らしい気持ちとともに、今回の市としての対応の早さ、そして市職員の皆様の働きには改めて感謝の気持ちを感じたところでございます。
 自身のみならず、家族、友人、大切な人たちの命と生活を守るために、私個人も新しい生活様式を意識しつつ、福祉の課題等を含め、次世代のためにも、将来を見据えた様々な分野における課題を見詰め、私たちが住む大切な八戸のために、私も子育てをしながら働く世代の1人として向き合ってまいりたいと思います。
 それでは、通告に従いまして、市長並びに関係理事者の皆様に質問をさせていただきます。
 まず初めに、福祉行政についてでありますが、地域集会所整備に対する支援についてお伺いいたします。
 地域集会所とは、いわゆる生活館や集会所といった町内会、自治会等が地域福祉の向上とコミュニティー活動の促進を目的として、集会の用に供する施設のことであり、町内会等の地域が主体となって整備及び維持管理を行っているもので、当市におきましては、令和2年4月現在で142施設の地域集会所が市内に存在していると伺っております。地域集会所は、町内会の子ども会や老人クラブなどの団体活動、サークル等のレクリエーション活動、お祭りや盆踊り等の各種行事の活動の場として幅広く利用されており、実際に私も、これまで地元町内の地域集会所に顔を出させていただき、その活動の一部を見させていただいてきた中で、地域コミュニティーの大切さを思い知り、地域集会所は、地域全体の交流を支える集会施設として大変重要な役割を担っているということを実感しております。
 ですが、その一方で、既にある地域集会所の中には、経年により建物本体や附帯設備の老朽化が進んでいるものもあり、施設を適切に維持保全していくためには、屋根や外壁などの計画的な改修や、建て替えといったニーズが今後一層高まるものと考えられる中で、地域集会所整備に対する現状は、町内会の加入率の低下や世帯の高齢化により、一部の町内会では自主財源の確保に苦慮しており、建設から数十年経過後も、費用面の問題で着手できていないところもあると伺っております。
 そこで、地域集会所整備に対する当市の支援制度の内容について、また、施設の経年に伴う対策等についてはどのような支援をされていらっしゃるのか、そして今後の地域集会所整備に対する支援についてはどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
 次に、医療行政についてお伺いいたします。当市における小児及びAYA世代のがん患者への支援対策についてであります。
 小児がんとは、一般的に15歳未満の小児がかかる様々ながんの総称のことでありますが、AYA世代のAYAという言葉はあまり聞き慣れない方も多いのではないかと思います。AYAとはアドレセント・アンド・ヤングアダルト、思春期・若年成人の略で、一般的に15歳から39歳までの年齢層の人を指し、がん医療において用いられております。
 小児がん、AYA世代のがん、両者におきましては、乳幼児期から小児期、そして思春期・若年成人世代といった学業や就職、恋愛に結婚や出産、育児等の特徴あるライフイベントが集中する大切な時期に発症してしまうことによる影響は大きく、小児・AYAがん患者、御家族は様々な課題を抱えているのが現状です。小児・AYA世代のがんにおいては、診断から治療、その後の療養生活、さらには社会復帰と、医療や生活全般に対する課題は多く、長期的かつ様々な分野、視点から捉えた地域全体でのフォローアップ体制の構築、整備等が求められております。
 そのような状況の中、2018年3月に閣議決定された国の第3期がん対策推進計画において、小児がん及びAYA世代のがんともに、取り組むべき課題として医療体制の整備が挙げられており、この計画に基づき、地域のがん対策に取り組む各自治体では、新たに小児及びAYA世代のがん患者に対するがん医療について、また、その支援等の在り方の全体像についての目標を掲げ、支援体制の整備に取り組むなど、小児及びAYA世代のがん患者への支援対策に対する重点度を上げる動きが広がりを見せてきております。
 そこで、当市における小児及びAYA世代のがん患者への支援対策についてお伺いいたします。
 まず初めに、アの現状についてであります。
 当市における小児・AYA世代のがん患者は実際にどのぐらいいらっしゃるのでしょうか。現在把握されているそれぞれの罹患者数についてお伺いいたします。
 また、相談支援も行っているかと存じますが、その件数と主な相談内容、対応等について含め、当市の小児・AYA世代のがん患者に対する支援対策として、現在どのような取組、支援等を行っているのか、当市における支援対策の現状についてお伺いいたします。
 次に、イの医療提供体制及び療養環境の充実についてであります。
 厚生労働省は、平成25年2月に全国に15か所の小児がん拠点病院及び2か所の中央機関を整備し、診療の一部集約化と小児がん拠点病院を中心としたネットワークによる診療体制の構築を進めており、これまでの取組については一定の成果が得られている一方で、がんの種類に応じた診療体制の整備や、小児がん拠点病院と地域ブロックにおける他の医療機関とのネットワークや、患者、家族の希望に応じて在宅医療を実施できる支援体制の整備が求められております。
 また、AYA世代に発症するがんについては、個々のがん患者の状況に応じて対応できるように、情報提供や支援体制及び診療体制の整備等の必要性が指摘されていることから、平成29年12月には小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会が設置され、小児・AYA世代のがん医療、支援の提供体制の在り方については議論が重ねられているようです。
 様々な課題がある中で、東北ブロックにおきましては、東北大学病院が小児がん拠点病院としての指定を受けており、その連携病院として、県内では青森県立中央病院と弘前大学医学部附属病院が指定を受けているようですが、当市の小児がん患者におかれましてはどのような医療提供体制が現在取られていらっしゃるのでしょうか。
 また、小児がんやAYA世代のがんは、連携すべき専門領域が多岐にわたる上、療養生活が長く、長期的なフォローアップ体制が求められている中で、近年、小児・AYAがん患者に対する行政支援として、妊よう性温存治療費、在宅療養生活費、医療用補整具購入費などといった生殖器温存治療、療養生活等の費用にかかる一部を助成する補助事業を開始する自治体が増えてきております。府や県が主体となっている場合もありますが、市町村が主体となり取り組んでいるところもあるようです。経済的支援として、こういった医療費、療養費に対する支援対策について注視していくことは、当市においても必要なのではないかと考えます。
 医療用ウィッグや乳房補整具が含まれる医療用補整具購入費の助成を行っている自治体におきましては、主にがん患者の就労や社会参加の促進及び療養生活の質の向上を図ることを目的としており、このような経済的支援は、就学、就労や社会復帰を支援するに当たり、多感な時期である小児・AYA世代のがん患者の精神面における重要なケアにつながる大事な支援だと考えますが、その点につきまして当市ではどのようにお考えでしょうか。小児・AYAがん患者に対する医療提供体制及び療養環境の充実について、当市の現状とお考えをお聞かせ願います。
 次に、ウの啓発活動についてであります。
 現在、日本では年間2000人から2500人の子どもたちが小児がんと診断され、AYA世代では年間約2万人以上もの若年者ががんと診断されております。幼くして診断を受けた子どもや若者たちは、厳しい治療を受けながらも、生きたいという強い気持ちでがんと向き合う中で、より一層希望の持てる治療の誕生を待ち望み、また、治療を終えて社会復帰した後は、後遺症や再発、晩期合併症等の不安を抱えながらも、人生を自分らしく必死に生きようとされている中で、がん経験者という偏見や誤解に傷つき、生きづらさを感じている体験者も少なくないと言われております。
 1人でも多くの方に小児がん、AYA世代のがんを知っていただき、社会の理解が進むよう、がんと向き合う子どもや若年者への支援として、小児・AYA世代のがんに関する啓発活動への取組に力を入れることも重要な支援対策の1つだと考えております。
 そこで、当市における啓発活動への取組状況についてお伺いいたします。
 また、国際小児がんデーに合わせた啓発活動への取組に関してもお伺いいたします。
 国際小児がんデーは、小児・思春期患者、サバイバーと家族のために、小児がんへの意識を高め、支援を表明する世界共通のキャンペーンであり、毎年2月を中心に国際小児がんデーキャンペーンとして、全国各地で様々な小児がんの啓発活動が行われております。
 現在、当市におきましては、国際小児がんデーに該当する活動はないかと認識いたしておりますが、行政の立場からも、市民に向けた小児がん啓発活動としての取組をしていくことが、当市の小児・AYA世代のがん患者への支援対策につながるのではないかと強く感じております。国際小児がんデーに合わせた取組について、今後実施されていく予定はないかお伺いいたします。
 最後に、エの課題についてであります。
 小児・AYA世代のがん患者に対する支援対策の課題につきましては、その一部を私もこの質問の冒頭から述べさせていただいてまいりました。
 まずは、当市の実態を把握することから始まり、行政として課題解決に向けた取組を充足させていくことが何より重要なことだと考えます。当市におきましては、小児・AYA世代がん患者への支援対策について、改めてどのような課題があるとお考えでしょうか。
 最後に、当市が考える課題についてお伺いいたします。

【1、地域集会所整備に対する支援について】
<答弁>
◎市長(小林眞 君)久保百恵議員にお答え申し上げます。
 まず、地域集会所整備に対する支援についての御質問ですが、地域住民のコミュニティー活動の拠点施設である生活館及び集会所といった地域集会所の整備については、町内会等の地域からの御要望に基づき、地域集会所整備費補助金制度により、新築、建て替え、改修といった整備に要する費用の2分の1を市が補助しております。このほかの支援制度として、町内会が認可地縁団体として法人格を取得している場合は、一般財団法人自治総合センターが実施するコミュニティセンター助成事業を活用し、集会施設の建設等、整備に要する費用について、総事業費の5分の3以内、上限1500万円の助成を受けることができます。
 地域集会所の新築や建て替え等の整備には、町内会においても多額の費用負担が生じるため、これまで地域からの市補助金制度の支援拡充の御相談や、地域集会所の約半数が建設後40年以上を経過していることを踏まえて、平成29年度にはトイレの洋式化に伴う改修工事を補助対象に追加し、令和元年度には建て替えにおける交付対象面積の拡大といった見直しを行ってまいりました。
 地域集会所は、コミュニティー活動の促進と地域福祉の向上に資する重要な施設であると認識していることから、県内他自治体の取組も参考にしながら、補助金制度の見直しについて検討をしてまいります。
 以上でございます。

<再質問>
◆9番(久保百恵 君)御答弁ありがとうございます。再質問をさせていただきます。
 ただいま御答弁いただきましたように、地域集会所は、地域住民の相互交流や町内会等の自主的な活動の推進、地域における児童や高齢者等の福祉の増進を図るといった市民生活の向上に寄与する重要な役割を担っている施設でございます。地域コミュニティー活動の促進を図る上で、地域集会所は欠かせない存在だと認識をしておりますが、140を超える施設のうち、約半数の地域集会所が築40年以上を経過しているとのことでございました。
 こういった施設の老朽化に加え、少子高齢社会など社会情勢の変化や価値観、ライフスタイルの多様化などの要因もあり、地域コミュニティーの衰退が課題となっております。地域集会所は地域コミュニティーの活性化を図るためのよりどころとなる拠点施設でありますことから、市といたしましても、地域集会所整備に対する補助制度のさらなる拡充が必要であると考えておりますが、この点につきましてどのようなお考えをお持ちでしょうか、再度市長からの所見、意気込みをお聞かせください。

<再答弁>
◎市長(小林眞 君)再質問にお答え申し上げます。
 壇上でも申し上げましたけれども、地域集会所整備補助金の見直しのより具体的な内容ということのようでございました。
 御質問にありましたとおり、地域集会所は地域住民が最も身近に利用することができる施設で、町内会活動の充実に加え、地域力の向上に寄与するものと認識しております。また、市民と行政の協働によるまちづくりの推進にもつながることから、非常に重要な役割を担った施設であるとも認識をいたしております。
 地域集会所整備費補助金制度の見直しの方向性につきましては、整備主体である町内会の財政の状況、加入世帯数や地理的条件など、地域の実情に応じまして幅広い支援が可能になるよう、今後検討してまいりたいと思います。
 以上です。

<意見要望>
◆9番(久保百恵 君)再質問への御答弁ありがとうございました。
 地域住民にとって最も身近な集会施設である地域集会所は、地域のコミュニティー活動の拠点施設であり、世代間の交流や地域力の向上に資する必要かつとても重要な施設でございます。当市の地域集会所につきましては、建設から40年以上を経過している施設が約半数にも上る件数だということからも、今後、施設の改修や建て替えに対する需要が高まってくることは明らかだと思います。地域コミュニティー活動の拠点となる場所を守っていくためには、まずはその拠点施設となる地域集会所整備に対しまして、今後需要が見込まれる建て替え等にかかる費用についてなど、より手厚い支援をされていかれることが重要ではないかと考えます。
 市補助金制度の具体的な見直しにつきまして、ぜひとも前向きな検討をしていただきますよう要望申し上げ、地域集会所につきましては、今後も地域の皆様にとってより身近で、利用がしやすい施設として幅広く活用が行われることを願い、この質問を終わります。

【2、小児・AYA世代がん患者への支援対策について】
<答弁>
◎市長(小林眞 君)それでは、小児・AYA世代のがん患者への支援対策についてのうち、現状についてまずお答え申し上げます。
 がん患者の人数ですが、当市の小児がん患者の人数は、小児慢性特定疾病事業の対象者としては令和元年度末時点で31人となっております。さらに、AYA世代がん患者数については、八戸市立市民病院のがん登録者数では平成30年度末時点で70人となっております。
 次に、支援の現状についてでありますが、八戸市立市民病院に設置されているがん相談支援センターで受けた令和元年度の相談件数は597件となっており、うち、小児がん患者に関する相談はゼロ件、AYA世代がん患者に関する相談は19件となっております。
 AYA世代がん患者に関する相談内容としては、手術や病状について等の患者自身の不安に係る内容が11件、ウィッグや補整下着などの外見ケアに関する相談が4件、治療費や生活費などの経済的な相談が3件、痛みに関する症状の相談が1件となっております。相談にはソーシャルワーカーや看護師等の専門職が従事し、カタログを活用したり、各種制度、サービスの紹介等を行っております。
 また、小児がん患者に対しては、市で実施している小児慢性特定疾病事業の医療費助成や日常生活用具の給付等の支援を行っております。さらに、小児慢性特定疾病で療養中の児童等及び家族を対象に日常生活の過ごし方について、年1回講演会を開催しており、理解を深める機会を提供するとともに、同じような悩みを抱えている患者、家族の交流の場ともなっております。
 次に、医療提供体制及び療養環境の充実についてお答え申し上げます。
 まず医療提供体制については、当市においては、小児がん治療を行える専門医師がおらず、市外の医療機関に紹介している状況にあります。市外での専門的な治療終了後は、診療情報提供書等により情報共有を図り、地域の医療機関において継続して治療後の管理を行っております。
 次に、療養環境の充実についてでありますが、がん治療による外見の変化に伴う身体的、精神的な負担等を抱えながら、社会生活を過ごしている方がいることを認識しております。このため、がん治療を受けている方の負担軽減と就労や社会参加の支援を目的として、医療用ウィッグや人工乳房等の購入費用に対する助成を実施している自治体がありますが、現時点において県内で実施している自治体はございません。
 また、八戸市立市民病院のがん相談支援センターでは、ウィッグ等を取り扱っている業者の紹介や、がん患者等の交流の場として月1回サロンを開催し、その中で医療用補整具等の相談に応じております。
 このような状況を踏まえ、当市といたしましては、医療用補整具購入費の助成について、先行自治体の事例を調査し、引き続き研究をしてまいります。
 次に、啓発活動についてお答え申し上げます。
 八戸市立市民病院では、平成28年から県内の小学校1校に看護師が出向き、国のがん教育推進のための教材に基づき、がんの現状や予防するための生活習慣等の内容でがん教育を実施しております。また、がん患者を支援することを目的としたリレー・フォー・ライフ・ジャパンのイベントに、当市及び八戸市立市民病院がその目的に賛同し、がんの相談コーナーの設置やパンフレットを配布しております。さらには、小児がんに対する意識を高め、小児がん患者や家族への支援の輪を広げることを目的に、2002年から毎年2月15日を国際小児がんデーとして、世界各地で小児がんに対する啓発活動が展開されております。当市においても、健康等に関する啓発週間や月間に合わせて、今年度から八戸市総合保健センターをライトアップするイベントを検討しているところでありますので、2月15日には、ライトアップやシンボルマークであるゴールドリボンの展示等を検討してまいります。
 次に、課題についてお答え申し上げます。
 小児・AYA世代のがん患者は、就学や就職、結婚等の時期と治療の時期が重なるため、患者一人一人のニーズに合わせた支援を構築するには、医師、看護師、保健師、薬剤師など、様々な職種が連携した体制が必要となります。さらに、18歳までは小児慢性医療費助成の国の制度が整備されておりますが、AYA世代がん患者への助成制度が整備されておらず、経済的負担も大変大きなものとなっております。
 議員御提案の小児・AYA世代がん患者のニーズを把握することは、課題の解決、支援の構築に有効であると考えますので、今後、その実施について検討をしてまいります。 以上でございます。
 〔市長小林眞君降壇〕

<意見要望>
◆9番(久保百恵 君)御答弁ありがとうございました。意見、要望を述べさせていただきます。
 当市における小児・AYA世代それぞれのがん患者数は、小児がん患者が令和元年度末時点で31人、AYA世代のがん患者が平成30年度末時点で70人とのことでございました。当市のそれぞれのがん罹患者数については、少ないと感じるのか、多いと感じるのかは人それぞれの考え方や捉え方にもよると思いますが、確実に言えることは、現に当市におきましても、小児がん患者、AYA世代のがん患者が存在しているという事実です。
 そして、実際にAYA世代のがん患者からは、手術や病状などについての不安や外見のケア、経済的な悩み、痛みに関することについての相談が寄せられており、御答弁の中にございましたが、令和元年度においては、外見のケアについては4件、治療費や生活費などの経済的なことに関しては3件の相談を受けているとのことでした。
 国立がん研究センター中央病院によりますと、年間約2万人のAYA世代の方が新たにがんの診断を受けているそうです。女性特有のがんである子宮頸がんや乳がんを患う女性が年齢とともに増えてきていることもあり、AYA世代のがん罹患者の約8割が女性であるそうです。現代では医療も日々進歩しており、外来で抗がん剤治療をする方が多く、治療しながら働く、治療しながら子育てという女性も少なくないようです。
 15歳から39歳であるAYA世代は、学校生活や仕事が生活の軸にある時期であり、社会との接点が多くある世代だからこそ、治療しながら生活をする上で、病人であることを気づかせない見た目へのケアが重要視されております。実際に抗がん剤治療中の方は、身体面の苦痛よりも、脱毛などといった外見の変化への苦痛、精神的ストレスを訴えているそうです。
 そのような背景の中、近年、がん患者の社会参加を支援する目的で、県単位や市区町村で医療用ウィッグ等の購入費用の助成事業を実施する自治体が増えてきております。助成対象、金額などは自治体によって異なりますが、治療によって脱毛した場合のウィッグ購入費、あるいは乳がん治療を受けた患者に対しての人工乳房や補整下着等の購入費の一部または全額を自治体が補助しているようです。
 ちなみにですが、東北6県では、秋田、山形、福島の3県が医療用ウィッグ、乳房補整具にかかる費用の助成を県レベルで行っているようです。そして、県レベルではありませんが、宮城県では数多くの市町村で実施され、お隣の岩手県では北上市が実施しているようです。東北6県中、唯一青森だけが県としても市町村としても実施されておりません。
 全国的に医療用補整具等の購入にかかる費用助成を行う自治体が増えてきているということを踏まえ、当市におきましては、県の動きを待たれるのか、それとも当市が先陣を切られるのか、医療用ウィッグ、乳房補整具等の医療用補整具購入支援として、費用助成につきましては調査研究を進めていただき、実施に向けて、どうか前向きな検討をしていただきますよう要望いたします。
 また、行政の立場における小児・AYA世代のがん患者に対する費用助成につきましては、ほかにも妊よう性温存治療や在宅療養生活支援にかかる費用の一部を助成する自治体が増えております。
 妊よう性温存治療とは、男女ともにがん治療するための化学療法や放射線治療により、生殖機能を失う可能性がある患者に対して、治療開始前に患者本人の希望により、精子、卵子等を凍結保存し、将来子どもを授かる可能性を残すための治療のことですが、この温存治療は保険が適用されないため、全て自費診療になるそうです。高額な治療費のため、患者の中には、これまで費用面で諦める人も多かったそうです。
 そのような背景から、将来子どもを持つことを望む小児・AYA世代のがん患者が希望を持って治療に取り組めるようにと、妊よう性温存治療に対する費用助成を実施する自治体が徐々に増えてきております。
 もう1つの在宅療養生活支援につきましては、介護や入浴等の居宅サービスや福祉用具の貸与、購入などの在宅療養にかかる際の費用でありますが、40歳未満である小児・AYA世代は、介護保険が適用されないため、在宅サービスを利用する際の経済的負担や介護する家族の負担等が大きいという問題もあるそうです。
 そのような中で、こういった助成制度は、金銭面のみならず、身体、精神面においても、小児・AYA世代のがん患者、御家族に寄り添った大事な支援であると考えます。ですが、さきに述べました医療用補整具購入支援も含め、妊よう性温存治療、在宅療養生活支援、この2つの助成についても実施しているのはまだ一部の自治体に限られ、地域格差があるのが現状です。小児・AYA世代のがん患者が金銭的な理由で、生殖機能の温存や在宅での療養を諦めなくて済むような環境整備のためにも、このような費用補助について、当市におきましてもどうか前向きに検討していただきますよう、熱く要望いたします。
 また、当市における小児・AYAがんに関する啓発活動につきましては、小児・AYA世代のがんに特化した普及啓発は、現在、特にはなされていないと受け取りました。小児がん、AYA世代のがんに関しては、まだまだ一般的な理解度が少ないと言われております。だからこそ、市民に対して効力のある行政が主体となって、積極的な普及啓発活動に取り組むことが当市の小児・AYAがん患者、家族に対する支援につながるものと思います。
 当市におきましては、2月15日の国際小児がんデーに合わせて、小児がん普及啓発への取組を検討していただけるとのことでございました。国際小児がんデーでは、公共施設や病院、ショッピングモールの一角を使って、小児がんの子どもたちが描いた絵画パネルや資料展示、ゴールドリボンツリーの設置や、その他イベントが行われているようです。小児がんのシンボルであるゴールドリボンで装飾するゴールドリボンツリーは、来場者がリボンを結び、完成していくツリーであり、理解と支援の輪が広がる大きなきっかけになる取組だと感じております。また、他県では県庁や駅前をゴールドでライトアップしているところもあるようです。
 国際小児がんデーに合わせたこのような取組は、1か所だけではなく、様々なところで連動してこそ、その効果も得られるものと考えております。当市におきましても、保健所のみならず、例えばですが、はっちやマチニワなど、子どもやその御家族、若者が集まる施設等におきましても、ぜひ連動して取り組むことはできないものでしょうか。予算の問題もあるかと思いますが、まずはできる範囲での取組を御検討いただき、できることでありましたら、ぜひ今年度より開始していただきますよう、心より御期待申し上げます。
 当市においても、シンボルマークであるゴールドリボンに思いを寄せてくださる方々が増え、小児がんへの理解、支援の輪が広がりますことを願っております。同時に、AYA世代のがんについても、乳がん等の予防に関する啓発だけではなく、小児・AYAがん患者への社会的理解を得られるような情報を提供するなどの取組につきましても、今後検討していただきますようにお願い申し上げます。
 様々述べさせていただきましたが、小児・AYAがん患者と家族にとっての問題は多く、その不安や課題は計り知れないものだと認識しております。がん治療中の肉体的な痛みに加え、精神的、経済的な厳しさのみならず、小児及びAYA世代のがんは、治療終了後に時間を経過してから生じる2次がんや成育不良、不妊といった晩期合併症にかかる場合があり、治療を終えた後も長期にわたりがんと向き合っていかなければなりません。晩期合併症と長期フォローアップにつきましては、医療面においてはチーム医療、そして生活面や教育面では、患者に携わる様々な機関や専門職の連携による様々なサポートが必要とされており、小児・AYAがん患者及び家族がライフステージに応じた適切な治療や支援を受けられるような体制づくり、環境整備を地域として取り組んでいくことは大変重要なことだと考えます。
 小児・AYA世代のがんに対しては、長期フォローアップ体制の推進、医療提供体制、療養環境の充実に向けた調査及び検討をしていくことが重要であり、また、情報提供、就学、就労、雇用対策や教育、啓発等の様々な視点におけるサポート体制の整備が課題とされている中で、小児・AYA世代のがん患者にとって、どの地域であっても平等な支援が受けられるような地域格差のない支援対策の充足、充実を願ってやみません。
 当市でがんを患っている小児・AYA世代の患者、その家族が、この地域に、八戸に住んでいてよかったと思ってもらえるような支援について、どうかいま一度考えていただけないでしょうか。当市におきましての小児・AYA世代がん患者への支援対策がより強化されますことを心から願い、意見、要望に代えさせていただきます。
 最後になりますが、がん患者は、このたびの新型コロナウイルスで重症化するリスクが高いと言われております。そのようなリスクを抱えながら、がん治療と向き合う患者自身と御家族、そして医療従事者の皆様のお気持ちに心から寄り添わせていただき、当市におきましても、今、がんと向き合っていらっしゃる皆様の不安が少しでも解消されますことを切に願い、以上で質問を終わらせていただきます。

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