2019/09/21
令和元年度決算質問・いのちを育む教育アドバイザー事業について
◆久保〔百〕 委員 私からは、通告しておりました91番、10款1項3目、報告書159ページ、いのちを育む教育アドバイザー事業の事業内容、成果及び課題等についてお伺いいたします。
決算書220ページ内にアドバイザー10人分の報酬52万8000円が計上されておりますが、この事業につきましてはアドバイザーの方々への報酬以外でほかにかかった経費等はありましたでしょうか。
◎南舘 教育指導課長 それでは、久保百恵委員にお答え申し上げます。
いのちを育む教育アドバイザー事業は、八戸市医師会長が推薦する産婦人科医と小児科医の10名をいのちを育む教育アドバイザーとして委嘱し、中学校において性に関する諸問題についての専門的な指導を行っていく事業になります。アドバイザーは中学校を訪問し、年一度、生徒を対象に講演や授業を行うほか、講演の事前事後の調査や指導についても相談に乗っていただいております。加えて、毎年2校ずつ希望者を募り、新生児をお風呂に入れる沐浴実習を実施しております。
52万8000円の内訳でありますが、全部で市内中学校24校ありまして、1校につき報酬として2万2000円ということで、2万2000円掛ける24校で52万8000円となっております。
以上でございます。
◆久保〔百〕 委員 次に、事業目的と内容についてお伺いしようとしていたのですが、先に併せて御説明いただき、ありがとうございます。分かりました。専門の医師からの指導や話が直接聞けるというとても貴重な機会であり、大変すばらしい事業だと感じております。令和元年度は、報告書を拝見しますと市立中学校24校で年一回の訪問指導を実施し、そのほか2校で沐浴実習を実施されたとのことですが、訪問指導の際に学校ごとの講演内容やテーマ等についてはどのように決まっているのでしょうか。また、具体的にはどのような内容が多いのか、お伺いいたします。
◎南舘 教育指導課長 講演の内容等についてお話しします。各学校の担当者と医師が打合せを行い、指導内容について相談した上で、学校の実態に即した指導に当たっております。また、八戸市医師会の協力により、基礎資料をアドバイザーで共有して使っていただくというものもあります。具体的には、思春期の心と体の変化、中学生の性の問題、性感染症の予防、望まない妊娠、LGBT等になっております。
以上でございます。
◆久保〔百〕 委員 分かりました。ありがとうございます。性に関しては、学校の先生や周りにいる大人たち、ましてや身近な家族にはなかなか聞きにくい内容でありながら、とても大切な性や命に関することを専門の先生方から聞くことができる機会というのは、本当に生徒さんたちにとっても話を受け入れやすく、大変貴重な機会だと思います。少し踏み入ったところになりますが、社会的に10代の売春や性感染症、人工妊娠中絶などが増え、従来の性に関する健康問題が問題視されている現状を踏まえた上で、当市においても、この教育アドバイザー事業を継続されてきていらっしゃることと思います。
そこでお聞きしたいのですが、性感染症や望まない妊娠、思いがけない妊娠などをしてしまい、医療機関にかかった生徒が当市におきまして実際にいるのか、もしいるとすれば、これまでどのぐらいおりましたでしょうか。また、そういった事例の報告は学校や市としても把握されているものなのでしょうか。
◎南舘 教育指導課長 教育指導課では青少年問題とか生徒指導の報告が上がっているのですが、今のところ、そういう報告は上がっておりません。
以上でございます。
◆久保〔百〕 委員 ありがとうございます。報告が上がっていないということで、市としてそういったケースがないということは幸いなことですし、また、この事業の効果が現れているのかとも思いますので、大変いいことだと思います。性に関することはとてもデリケートでナイーブなことだと思いますので、表には出せずに、実際には家庭内等で対処されていたりですとか、全てを学校や市が把握することはとても難しいものではないかと思います。全国的に捉えますと、SNSなどによる手軽な出会いの場の拡大などにより、小中学生、低年齢での妊娠というケースは年間で約400件というデータも出ていたりと実際に起こっているようです。そういった事実、観点からも、当市のこのようなアドバイザー事業は、やはり子どもたちを守るために欠かせない非常に大切な取組であると思います。
また、今般の新型コロナウイルスの影響では、当市におきましてもやむを得ず休業措置が取られ、あり余るエネルギーを主に自宅で過ごさなければならない日々が続いたと思います。そのエネルギーの矛先が全国的に一部の思春期の子どもたち、10代の間では性に関することへ向いてしまうという事実もあったのだと思います。コロナ拡大に伴う休業中、ステイホームの期間に10代、少女たちの思いがけない妊娠に関する相談が急増したというニュースや記事を拝読し、当事者である子どもたちの思いや親御さんたちの思い、お気持ちを同じ女性として察すると、とても人ごとには思えず、心が痛みました。家庭内だけではなかなか対応できないことだからこそ、行政の支援、学校教育の場でできる異性との関わり方、性や命に関する教育につきましては、ぜひ今後も外部講師である専門アドバイザーの皆様に協力をいただきながら、より力を入れて最大限の取組をしていただけることを期待しております。
話が少し偏ってしまいましたが、最後にもう一点質問させていただきます。
このいのちを育む教育アドバイザー事業ですが、訪問指導の実施後には各学校から実施報告書を提出していただき、それをまとめていらっしゃるとのことですが、そこから見えた事業の成果と課題等についてお伺いいたします。
◎南舘 教育指導課長 成果と課題等についてお答え申し上げます。
まず、生徒の生の感想等を御紹介してから、成果と課題等についてお答えいたします。生徒の感想ですが、将来起こり得ることなので、気をつけて生活していきたい。正しい知識はこのような場で学ぶものだと思うので、学ぶことができてよかった。アドバイザーは何度も自由という言葉を使っていたので、私たちの意見を尊重するようにお話をしていってくれたけれども、その中で危険性や注意しなければならないことがあるとも伝えていたと思う。
保護者の感想でございますが、LGBTなど現代に即した内容ですごくよかった。自分の体を守るのと同時に他者も大切にできるすてきな大人になってほしいと思うという感想を述べておりました。
そのような感想をまとめまして、成果については、医療現場に立つ医師による専門的な話を生徒が直接聞くことで、命の貴さに触れるかけがえのない体験となり、性的接触による感染症を予防するための正しい知識の理解だけでなく、異性の尊重や親への感謝の気持ちも含め、自分、そして他者の命を大切にしようとする意識の涵養につながっております。
一方、本事業の課題といたしましては、性に関する価値観の多様化に伴い、性行動の早期化やメディアにおける性表現の氾濫、そして性的少数者のLGBTに関することと子どもたちを取り巻く環境が複雑化、困難化していることが挙げられますが、この対応については、アドバイザーと相談の上、講演内容に反映していただいております。
以上でございます。
◆久保〔百〕 委員 ありがとうございます。思春期ならではのとても多感な時期であるからこそ、この時期に性と命についてしっかりと向き合えるような機会を与えることができる取組は本当にすばらしいと思います。異性との違いや関わり、自他の命の貴さについて学び、触れることで、望まない思いがけない妊娠やいじめ、虐待などといった心と体の痛みを負うようなことが決して誰にも起こらないような、そういった悲しい出来事の防止につながっていくものと信じ、願っております。
人生を生きる中で、性と命については無視することのできない一番大切なことだと思います。だからこそ本事業はとても意義があるものだと認識しておりますし、必要に応じて回数を増やしたり、さらにさらに取組を広げてもいいのではないかと感じるほどです。この事業の継続と、さらなる展開に御期待申し上げ、質問を終わります。