2017/09/11
平成29年9月定例会*一般質問
順位 |
会派・議員名 |
発 言 事 項 |
発 言 の 要 旨 |
○9月11日(月) |
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1 |
自由民主・市民クラブ |
1 中核市への移行について |
(1) 移行後の現状について |
2 八戸ワイン産業創出プロジェクトについて |
(1) これまでの取り組みについて |
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3 林業行政について |
(1) 市民の森不習岳について |
【壇上質問】
まず初めに、中核市への移行についてお伺いいたします。
ことし、平成29年1月1日に中核市八戸が誕生いたしました。中核市移行から早いもので8カ月余りが経過し、当市におきましては、平成26年5月に小林市長が正式に中核市移行を表明されてから速やかに移行に向けた準備が進められ、平成28年6月の中核市指定に係る政令の公布を経て、当初の予定のとおりに中核市へ移行となりました。
中核市へ移行した狙いといたしましては、今後一層の進展が予想される地方分権の受け皿として、北東北を代表する都市にふさわしい権限と責任を持ち、都市の自主性、自立性を高め、市民福祉の最大化を図ることを目指すものとされており、その効果としましては、市民にとって身近な基礎自治体としての行政機能が高まることにより、きめ細かな市民サービスが提供できるようになるほか、総合的な保健衛生サービスの展開による、自立的で特色あるまちづくりが推進されることが挙げられております。また、中核市への移行により、北東北を代表する都市としての知名度やステータスの向上が図られ、都市としてのイメージアップが期待されるとともに、これまでの定住自立圏での広域連携の取り組みを、今後は連携中枢都市圏として発展させていくことにより、八戸広域圏のさらなる活性化も期待されております。
こうした中核市移行の狙いや効果について評価をするには、時期が若干早いかもしれませんが、中核市への移行後、各種サービスが実施される中で、市民からどのような声が寄せられ、また、現時点でどのような課題が見えてきているのかをきちんと把握し、認識することが大事だと感じております。
そこで、質問に入らせていただきます。
第1点目として、中核市への移行から8カ月余りが経過した中で、移行後の現状についてどのように認識されているのかお伺いいたします。
第2点目として、財政的な影響についてお伺いいたします。
中核市となって膨大な数の権限の移譲があり、それにより市民サービスの向上が図られることは大変喜ばしいことではありますが、当然それに要する経費も増大いたします。そのことがこれまで維持されてきました当市の財政運営に影響を及ぼさないものか懸念する声も耳にいたします。市長はこれまで議会答弁において、権限移譲による経費の増加分は、地方交付税などの増額によってカバーされるという説明をされてまいりました。ことし7月に今年度の地方交付税の交付額が決定されたとの報道がありましたが、実際に当市への交付額はどのようなものであったかお伺いいたします。
続いて、八戸ワイン産業創出プロジェクトについてお伺いいたします。
平成26年度からワイン用ブドウの植えつけが南郷地区で始まり、この秋にもワインの仕込みが行われる予定だと伺っております。生産者の皆様を初め、このプロジェクトに携わっていらっしゃる方々の御尽力によって、日を増すごとに八戸ワイン産業創出プロジェクトの胎動が力強くなっていることを実感しております。
先月、八戸市南郷新規作物研究会議の皆様とともに、ワイン産地として注目を集めている長野県高山村の視察へ行ってまいりました。高山村は、平成17年にワイン用ブドウによる地域振興を宣言しており、当初は3ヘクタール程度だった高山村のワイン用ブドウ畑も、その栽培面積は現在約50ヘクタールまで拡大し、ワイナリーも、平成27年度に1軒、翌年、平成28年度に1軒と、計2軒のワイナリーが開業し、さらに今後もワイナリーの開業が予定されていると伺っております。高山村では10年以上の歳月をかけてワイン用ブドウと、ワインによる地域振興が着実に進められてきており、ワインの人を引きつける力、ワインから起こるつながりなどを再認識してまいりました。
八戸には農業があり、そして水産業があり、さらに魅力的な食産業がありますが、ここにワイン産業が加わることで、八戸の食との組み合わせ、マリアージュによるさらなる地域経済の活性化にもつながり、また、若い世代を引きつける地域資源にもなり得るものと期待をしております。
そこで、質問に入らせていただきます。
第1点目として、八戸ワイン産業創出プロジェクトのこれまでの取り組みについて、いま一度お伺いいたします。
また、先日の長野県高山村での視察の際に、ワインの品質やおいしさは、ブドウの品質でおおむね決まるため、栽培という部分は、決しておろそかにしてはならないというお話を伺いました。
そこで、第2点目として、本プロジェクトにおけるワイン用ブドウの生産についてお伺いいたします。
そして、当市のワイン産業をよりよい形にしていくためには、今後の取り組みが大変重要であると感じております。
そこで、第3点目として、今後の展開についてお伺いいたします。
続いて、当市における林業行政についてお伺いいたします。
森林は、水を育み、山地災害などから国土を守るとともに、豊かな自然環境を通じて、私たちの生活に潤いと安らぎを与え、また、木材を初めとした林産物の供給のほか、私たちの暮らしにとって重要な多くの役割を果たしています。
このように、大切な役割を持つ森林資源は、私たち市民の財産であり、市民一人一人が地域の森林について意識を高めていくことは、地域の森林を守っていくことにつながります。そのために、行政側としても、市民が森に親しめるような環境やきっかけづくり、また、そのような場を提供していくような働きかけも、地域の林業行政として大切だと感じております。当市には、市民の保健休養やレクリエーションの場として、四季折々の森の景色と自然の森の美しさに触れ、楽しむことができる市民の森不習岳があります。
そこで、第1点目の質問として、市民の森不習岳についてお伺いいたします。
昭和53年に開設された市民の森不習岳は、施設の老朽化が著しくなってきたことから、平成18年度より施設改修改善事業が行われておりますが、アとして、現在の整備状況と今後の予定について、またイとして、年間来場者数の推移について、お伺いいたします。
次に、第2点目の質問に移らせていただきます。
森林、林業を通じて、当地域でも他の地域と連携した取り組みを検討していくといった動きが始まっていることをお聞きいたしました。そのような中、当圏域と久慈圏域、二戸圏域の3圏域で構成される北緯40°ナニャトヤラ連邦の森林資源活用専門部会の事業取り組みの1つとした森林資源方策検討会では、近年、国産漆の需要が高まりつつある中で、圏域内における漆の生産及び利用拡大について検討していくことを目的に、国産漆の一大産地である二戸市浄法寺地域で漆に関する研修会、講習会等を実施されているようですが、そこで質問いたします。
第2点目の質問として、当地域における漆栽培の現状についてお伺いいたします。
最後に、若者の市外流出についてお伺いいたします。
地方において若者の人口減少は深刻な問題でありますが、当市におきましても、首都圏や主要都市へ転出する若者の歯どめがきかず、大きな課題の1つとなっております。若者が市外へ転出する時期は年度末が最も多く、八戸市外への直近3年間の転出データによりますと、転出人数が多い年代は順に、高校卒業時の18歳、大学卒業時の22歳、そして短大卒業時の二十歳となっており、進学や就職等のタイミングで多くの若者が八戸以外を選択し、転出していることがわかります。
八戸市外へ転出する多くの割合が若者であることから、若者の市外流出に歯どめをかけることは、市全体の人口減少への解決の糸口にもつながる重要なことだと感じております。実際に全国の各市町村では、若者の流出に歯どめをかけながら、人口減少を抑える政策やさまざまな取り組みが行われ、市町村ごとで若者流出へ特化した対策等が行われているようです。
一方、当市の人口減少への対策は、市総合計画の各戦略プロジェクトの政策に基づき、移住・定住促進や雇用・就業支援など、UIJターンを狙いとする施策など、全年代を対象とした人口減少対策が主であり、若者の市外流出へ特化した対策というものが少ないと認識しております。現在展開されている人口減少への対策において、どれほど若者の市外流出問題が意識されているのか、疑問が浮かんでおります。
そこで質問いたします。若者の市外流出が続いている現状につきましてどのようにお考えでしょうか。現状に対する所見についてお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。
〔1番久保百恵君降壇〕(拍手)
【答弁】
◎市長(小林眞 君)おはようございます。久保議員にお答えを申し上げます。
まず、中核市移行後の現状についての御質問ですが、本年1月の中核市移行に伴い、県から保健衛生、福祉、教育、まちづくり等に関する2028項目の事務の移譲を受けております。移譲に当たっては、移行後の円滑な事務の実施に向けた県との協議を重ねながら、事務の引き継ぎのほかに、新たに必要とされた専門職の確保や職員研修など、移行後に事務を適正に実施できるようスピード感を持って計画的に準備してまいりました。
移行から8カ月余りが経過いたしましたが、これまでの各課窓口における市民の声として、不妊治療費助成で補助金が振り込まれるまでの期間が短くなった、NPO法人に係る手続やパスポートの申請において、窓口が市に集約されたことにより便利になった、行政との距離が近くなり、相談がしやすくなった、庁舎が中心市街地にあるため、公共交通機関の便がよく、来庁しやすくなったなど、移行前に想定していた効果を裏づける内容が寄せられており、きめ細かな市民サービスを提供できているものと認識しております。
また、教員の初任者研修等において、市の教育課題や地域特性に沿った研修を実施できるようになったことで、これまで以上に意欲的に取り組む姿が見られるようになるなど、教員の資質向上が図られるという中核市移行の効果もあらわれております。
一方で、ノウハウや経験の不足により、事務処理に時間を要したケースや、県の事務と市の事務の分担がわかりづらいといった状況も見受けられることから、引き続き県と緊密に連携をとりながら、ノウハウの蓄積やマニュアル等の充実を図るとともに、県と市の事務分担の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
今後も移譲事務の状況把握に努めながら、広く市民の皆様に中核市移行の効果を実感していただけるよう、移譲事務の適切な実施とさらなる市民サービスの向上に取り組んでまいります。
次に、財政的な影響についてお答え申し上げます。
当市の平成29年度当初予算では、中核市関連経費のうち、法定移譲事務に係る経常的な経費として、軽費老人ホーム事務費補助金、母子父子寡婦福祉資金貸付事業費、小児慢性特定疾病事業費、食品衛生法に基づく事務費、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく事務費、大気汚染防止法に基づく事務費、産業廃棄物適正処理推進事業費、屋外広告物規制事業費、教職員研修事務費など、約5億1000万円を計上したほか、法定外の移譲事務経費として、旅券発給事務費、児童福祉施設等産休等代替職員設置費補助金、保育士資格等取得支援事業費など約1200万円を、その他の事務経費として、包括外部監査事務費など約1600万円を計上しております。これらの関連事業費と事務に従事する職員の人件費約4億3000万円を合わせると、中核市関連の経常経費は約9億6500万円となっております。また、これらの経常的な経費のほか、臨時的な経費として、老人福祉施設等整備事業補助金約4億4000万円を計上しており、中核市関連経費全体として約14億400万円を計上しております。
一方、これらの経費の財源のうち、その大部分を占める普通交付税については、去る7月25日に交付額が決定されたところでありますが、中核市移行に伴う基準財政需要額の増額分として約12億5000万円が算定されており、当初予算で見込んでいた9億8000万円を約2億7000万円上回ることとなりました。この結果、中核市関連の歳入といたしまして、当初予算で見込んでいる国庫支出約6100万円、特別交付税約1300万円、諸収入など約7200万円、臨時的経費に充当する市債約2億9000万円を加えるとともに、普通交付税に振りかわった県支出金約1億8000万円を減額しても、全体では約15億1300万円となり、臨時的経費を含めた中核市関連経費を賄うものとなっております。
今後は、移譲された事務事業の円滑な実施について万全を期すとともに、引き続き財政の健全化に努めてまいります。
次に4、若者の市外流出についての現状に対する所見についてお答え申し上げます。
我が国では、世界に先駆けて人口減少、超高齢社会に突入しており、地方と東京圏の経済格差の拡大等の影響により、若い世代の地方からの流出と東京圏への一極集中が続き、地方における社会経済の活力低下が危惧されております。当市におきましては、人口減少の克服と地域社会経済のさらなる活力創出に向け、平成27年10月、八戸市まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしました。総合戦略では、4つの基本目標を定め、就業機会の創出やまちの魅力の向上、子育て支援の充実や教育環境の整備など、総合的な政策展開により、住んでみたい、住み続けたいまちの実現に向けて取り組んでおります。
当市における直近の人口動態を見ますと、平成29年3月中において、転入1446人に対して転出2300人と、854人の転出超過となっております。年間を通して転出者が最も多いのが3月で、特に10代後半の若者が大幅に転出している一方、20代から30代前半にかけては転入超過の傾向となっていることから、ある一定程度の若者が戻ってきている状況であると考えております。これは過去30年間を見ても、全く同様の構図となっております。
転出先については、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県といった東京圏が中心となっており、県外転出者の約4割が東京圏へ転出しております。東京圏においては、平成28年の人口移動報告によりますと、転入超過が11万7000人であり、これまで21年連続の転入超過となるなど、一極集中に歯どめがかかっていない現状であります。主な要因としては、大学等への進学で東京圏などに転出し、そのまま就職してしまうことや、多様な就業機会がある東京圏に関心を持つ若者が多いことが考えられます。
人口減少が進行していく中にあって、その減少幅を緩やかにしていくためには、若年者の地元定着、さらには東京圏からの人材の還流を促進する必要があります。高校を卒業して、大学等への進学等で地元を離れ東京圏へ転出することは、知見を広めるよい機会ではありますが、1度地元を離れても、将来的に八戸に戻ってきたいと思う地元への愛着等の意識の醸成が重要だと考えております。今後も企業誘致の推進、移住交流促進事業や、ほんのり温ったか八戸移住計画支援事業など、八戸市総合戦略における各種施策に積極的に取り組み、若者の地元定着を図ってまいります。
私からは以上でございます。
〔市長小林眞君降壇〕
◎農林水産部長(出河守康 君)私からは2、八戸ワイン産業創出プロジェクトについてと、3、林業行政についてにお答え申し上げます。
まず、八戸ワイン産業創出プロジェクトのこれまでの取り組みについてお答え申し上げます。
当プロジェクトは、南郷地区の主要作物である葉たばこの生産が、近年国内でのたばこ需要の減少に伴い落ち込んできたことから、それへの対応として、代替作物をワイン用ブドウとし、そのブドウを活用して、市内でのワインの生産に結びつけることにより、6次産業化を目指す取り組みとして平成26年度に始めたものであります。このワイン用ブドウを代替作物にすることにつきましては、同じく平成26年度に市内の有識者で組織した八戸市南郷新規作物研究会議での検討の結果、決定したものであります。
しかし、ワイン用ブドウにつきましては、これまで市内において生産実績がなかったことから、総務省の機能連携広域経営推進調査事業等を活用し、平成26年度から南郷地区内の農業経営者に生産調査を委託しており、これまでにメルロー、シャルドネなど計18品種、2200本の苗木を植えつけし、平成27年度から生育状況、病害虫及び糖度等の調査を開始しております。また、ワイン生産に必要な量のブドウの確保を目的に、南郷地区の農業経営者が苗木を購入するための経費を市が補助するなどして、昨年度は1219本が植えつけられ、今年度はさらに1万3000本の苗木が植えつけられる予定となっております。
加えて、昨年11月に八戸ワイン産業創出特区計画が内閣府から認定され、ブドウを原料とするワインを製造する場合には、酒類製造免許に係る最低製造数量基準である6キロリットルが2キロリットルに引き下げられ、市内では小規模なワイナリーも免許を受けることが可能となっております。
さらに昨年、八戸ワインの生産事業者を公募して、株式会社サンワーズとはちのへワイナリー株式会社の2社を認定しております。株式会社サンワーズにおいては、ことし秋の醸造に向けて、柏崎地区でワイナリーの整備を進めており、年内の販売開始を予定しているとのことであります。また、はちのへワイナリー株式会社においては、南郷地区内でのワイナリーの整備に向けて準備を進めているところと伺っております。
次に、ワイン用ブドウの生産についてお答え申し上げます。
当市をワインの生産地として定着させるためには、ワイン用ブドウは高品質で、しかも相当量の安定した生産が見込めることが肝要であり、生産者の技術力の向上を図るため、平成27年度から栽培管理、病害虫防除及び適期収穫等に関する講習会をブドウの生育状況に応じて適宜開催しております。また、当プロジェクトの推進に資するため、平成27年度から国の地域おこし協力隊制度を活用し、希望する生産者の圃場に隊員を派遣して、ブドウの栽培管理に関する支援などに努めております。さらに、圃場の土壌管理を適正に維持するため、希望する生産者に対して、土壌分析とその診断を市の農業経営振興センターにおいて実施しており、その結果をもとに、肥料の散布などの土壌管理を指導しております。ワインづくりはよいブドウづくりから始まると言われ、ワイン用ブドウの生産振興は当プロジェクトの推進に必須であることから、引き続き支援してまいります。
次に、今後の展開についてお答え申し上げます。
当市では、ワインの持つ魅力の発信とワインをたしなむ文化の定着を目的とするセミナーを平成26年度から開催しております。特に初回のセミナーには、2013年世界最優秀ソムリエに選ばれたパオロ・バッソ氏を講師に迎えるなど、毎年著名な方々をお招きして、こうしたイベントを通じて、地元での需要の掘り起こしに今後も努めてまいります。
また、来年10月からは果実酒等の製法品質基準により、国内で収穫されたブドウのみを使用し、国内で生産されたワインを日本ワインとし、産地及びブドウ品種等の表示も可能となることから、このルールに基づくブランド化にも取り組むこととしております。加えて、八戸の食との組み合わせにつきましても、市内の飲食関係者等との連携を図りながら、研究を進めることとしております。
ワイン産業につきましては、ブドウの栽培、そしてワインの製造、運搬及び販売、さらには八戸の食との組み合わせによる食産業の振興など裾野が広く、地域経済の活性化や雇用の創出に資するものと期待しており、引き続き当プロジェクトの推進に努めてまいります。
次に、市民の森不習岳の現在の整備状況と今後の予定についてお答え申し上げます。
市民の森不習岳は、市民の保健休養、レクリエーションの場として昭和53年に開設いたしましたが、多くの年月が経過し、各施設の老朽化が著しいことから、辺地対策事業債を活用し、平成18年度から順次整備を進めてまいりました。
これまで総合案内施設、展望台、キャンプ場の炊事棟を改築したほか、そば打ち体験や木工クラフト体験など、多目的に使用できる体験交流施設を新設し、平成28年度から供用を開始しております。また、昨年度は、市民の森の北側のため池にミズバショウ、また、ため池の周囲に敷設した歩道沿いにアジサイを植栽し、季節ごとの草花を森の中の水辺空間で楽しむことができる湿生園として整備を進めております。今年度は、山麓及び山頂の展望台近くの林間歩道沿いに各1棟、もみじ園内に1棟の計3棟のあずまやを整備することとしております。また、来年度には、山頂の駐車場からもみじ園へつなぐ新たな林間歩道の整備も予定しております。
これからも多くの市民が自然に親しみ、森林の持つ意義や重要性について学ぶことができる施設として、また、自然の中で森林浴や昆虫採集、キャンプなどができる市民の憩いの場として整備に努めてまいります。
次に、市民の森不習岳の年間来場者数の推移についてお答え申し上げます。
市民の森の年間の来場者数は、過去5年間においては推計3万8000人程度で推移しており、個人客のほか、小学校や企業等の団体にも利用されております。来場者の多くは、林間歩道や山頂広場周辺の自然散策や、市内を一望できる展望台からの眺望を楽しまれておりますが、見晴らしのよい芝生の中にピザ釜を備えた炊事棟を配置したキャンプ場が好評であり、日帰りでバーベキューを楽しめる場としても多くの皆様に御利用いただいております。
また、指定管理者の主催により、春の山野草の観察会や木登り体験など、自然の中で楽しむことができるイベントが開催されているほか、秋の紅葉シーズンには、地元の観光協会によるもみじ園のライトアップも行われております。これからも市による施設整備とともに、関係機関と連携しながら、市民の森の魅力向上による利用促進に努めてまいります。
次に、漆栽培の現状についてお答え申し上げます。
漆は古くから日本人の生活に密着してきた林産物であり、また、英語でジャパンと称されるように、日本文化の象徴の1つでもあります。また、青森県南及び岩手県北地域は、古くから漆文化や生産が盛んな地域と言われており、当市の是川遺跡からも漆を使った木製遺物が数多く出土して、出土品の多くにすぐれた漆工芸技術も認められ、国の重要文化財にも指定されるなど、当地域とのかかわりは長く深いものとなっております。
しかしながら、国産の漆は時代の変遷や安価な外国産の漆に押されて衰退し、現在は国内で流通している漆の97%以上が中国などからの輸入品であり、残り3%弱が国産で、そのうち70%が二戸市浄法寺産とされております。このような中、国では平成30年度から、国宝や重要文化財の保存修理に全て国産漆を使用する方針を打ち出したことで、需要の増加が見込まれ、二戸市を初めとした漆の生産地においては、漆の増産に向けた取り組みが進められております。
当市といたしましても、国の方針を追い風と捉え、漆文化や伝統を再評価し、漆の生産を後押しすることは、林業振興の視点からも有意義であると認識しております。今後は、漆による地域振興について、八戸、久慈、二戸の三圏域で構成する北緯40°ナニャトヤラ連邦会議で実施している事業を推進するとともに、八戸圏域連携中枢都市圏での事業化に向け、圏域町村と検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます
【意見要望】
◆1番(久保百恵 君)市長並びに関係理事者の皆様、御答弁いただきありがとうございました。私からは各発言事項に対する意見、要望を順に述べさせていただきたいと思います。
最初に質問させていただきました中核市への移行についてですが、移行からまだ8カ月余りではありますが、移行の効果を裏づける声などが早速市民から寄せられているということはとてもすばらしいことだと感じております。市民にとって新たな中核市八戸で生活をしていくというのは初めてのことです。中核市になって何がどう変わったのか、実際のところ、まだうまく理解ができていないという市民もいるように感じております。だからこそ、市民の皆さんが中核市になったことをどう捉えているのか、また、疑問や不安はないのか、市民の声を拾い、そして寄せられたその声に対して、市としていかに迅速な対応をしていけるのかが大事になってくると思います。
また、財政的な影響としてですが、ことし7月に決定された交付金額は、当初の予算で見込んでいた額より上回り、中核市関連の経費を賄えるものとなっているということで、今のところ想定どおりで、順調に運んでいると認識いたしました。中核市に移行した1年目だからこそ、経費などの財政面や中核市にかかわることで何かしらの変化や修正があった場合には、市が率先して市民からの理解を得られる説明というものを重要視されていくことが大事になってくると思います。
市民の声の吸い上げ、そしてその部分に対しての市の迅速な対応、また、市民へのわかりやすい説明、こういった動きを軸にできれば、中核市移行への効果がより高まり、最大限に生かしていけるのではないかと考えております。八戸市は中核市として新たなスタートを切りました。中核市移行を契機として、より活力のある魅力的なまちへとなりますことを願い、意見、要望とさせていただきます。
次に、八戸ワイン産業創出プロジェクトについてですが、ワイン産業創出に当たっては、ワイン用ブドウを栽培してくださる方々の存在と協力なしでは、このプロジェクトは成り立たないということはもちろん承知しておりましたが、先日の長野県高山村での視察の際に、ワイン用ブドウ農園の農場主である佐藤さんという方からお聞きしたお話がとても心に残っております。
佐藤さんのお話をお聞きし、栽培ということに対する大変さや重大さについて改めて考えさせられるよい機会となりました。国際ワインコンクールでの受賞歴も多く、大手酒造メーカーの契約農家としてブドウ栽培40年の実績があり、カリスマ栽培家とまで言われている方なのですが、そこにたどり着くまではたくさんの苦労をされてきたことを伺いました。栽培に対する情熱はもちろん、佐藤さん御自身の経験から、ワイン用ブドウづくりは、執念、理念、そして信念がなければ、やり遂げることは難しいとおっしゃっておりました。
栽培農家の皆様にとって、新しいことに挑戦するのはとても決意の要ることだと思います。それでも決意を固め、挑戦されていらっしゃる農家の皆様は、このプロジェクトに大きな期待と夢を抱いていらっしゃる方々なのではないかと感じております。ワイン産業創出に当たっては、何よりもいちずな情熱を持つすばらしい方々の存在が欠かせません。今後も当市でのワイン産業創出へ向けて協力してくださる方々への最大限の支援をお願い申し上げ、意見、要望とさせていただきます。
続いて、林業行政について、意見、要望を述べさせていただきます。
当地域における漆栽培の現状や今後の振興策等についてお答えいただき、ありがとうございました。国の方針から国産漆の需要増加が見込まれている一方で、漆栽培の現状といたしましてはさまざまな課題があると思いますが、漆という資源に着目した事業や取り組みに当市及び当圏域もかかわっていかれるということは、新た可能性を期待できるすばらしいことだと感じております。漆という資源の活用について前向きな検討が進んでいかれますことを期待しております。
市民の森不習岳につきましても、体験交流施設も新設され、湿生園やあずまやの整備等も同様に順調に進んでいると認識いたしました。今後も順調な整備が進んでいかれますよう願っております。
また、年間来場者数につきましては、過去5年間において推計3万8000人程度で推移しているようですが、当市の人口が約23万人といたします中で、率直に思うのは、人里の近い里山として、当市にはすばらしい憩いの場である市民の森があるにもかかわらず、訪れる機会やきっかけに出会えていない市民の方もまだまだたくさんいるのではないかと思っております。
市中心街からですと、市民の森不習岳まで車では40分ほどかかるなど、市中心部から誰もが気軽に歩いて行ける場所にあるということではないので、そういった交通面での課題等も少なからずあるのではないかと感じておりますが、市民が訪れる価値のあるとてもすばらしい市民の森であると感じております。多くの市民に訪れていただき、自然や森に親しんでいただけるきっかけを今後も行政の立場から提供していただきますようにお願い申し上げます。
少し話の志向が変わりますが、林業女子会という任意団体を御存じでしょうか。女子の力で林業を盛り上げたいと、林業にかかわる仕事や活動をされていた女子たちが集まり、林業の魅力を発信するべく、2010年に京都で生まれた任意団体のグループから始まり、今や全国各地に広がっているのですが、この青森でもついに先月、林業女子会@青森が結成されました。森林と林業についての魅力を広く発信することで、森林と人、人と人とをつなげていくことなどを会の目的としており、この青森でも女子の力で林業を盛り上げたいという動きが大きくなっております。
森林が持つ大きな役割については、先ほど壇上で述べさせていただきましたが、森林の有する多面的な機能を発揮するために必要な森林整備等を担うのは、主に山村において林業に従事されている方々の存在が欠かせません。林業従事者の担い手不足が深刻化している中で、地域で働く林業従事者の存在はとても重要です。行政の立場、市民の立場、それぞれの立場からの視点で林業界を応援していくことも、また地域の森林資源を守っていくことにつながると考えております。当市の林業行政に期待を込めまして、意見、要望にかえさせていただきます。
最後に、若者の市外流出について、意見、要望を述べさせていただきます。
まず初めに、若者の市外流出に歯どめをかけるか、それとも呼び戻すかという点についてですが、私も八戸に戻ってきた人間ですので、市外に出て経験を積むことはとてもすばらしいことだと感じております。ただ、1度市外へ出ていってしまうと、なかなか八戸へ戻ってくるきっかけというものが少なく、戻ることが難しくなるという事実もあると思います。八戸に戻りやすい環境や受け入れる体制があるかどうかという点が重要になり、多くの若者が市外へ一斉に転出する状況では、そういった環境や体制をつくることは難しいと思います。
そのまま八戸に残り、地元を盛り上げる若者、一旦外へ出た後に八戸に戻ってくる若者、そういった若者たちが未来の八戸を盛り上げてくれるのではないかと思います。そのためにも若者に焦点を当てた施策という点で、人口減少対策とはまた違った角度、視点からの取り組みが必要なのではないでしょうか。市が率先してデータから、若者の市外流出、転入状況や若者の市内定着率など、若者世代の動向を追っていただけることを期待しております。
昨年は八戸ブックセンターがオープンし、来年度以降も三日町のにぎわい拠点、屋内スケート場、新美術館など、八戸の顔となり得る新たな拠点施設の誕生が予定されており、市長のリーダーシップのもと、新たなまちづくりに私を含め多くの市民が期待しております。この新たなまちづくりこそ、若者の流出に歯どめをきかせ、また、若者を呼び戻す絶好の機会だと思っております。このまちづくりで若者の興味をより引けば、幅広い年代が参加できる、より活気のあるまちづくりができると思います。若い力をぜひ八戸の力として生かしていただくために、若者の動向や若者に着目した施策や取り組み等が充実してまいりますことを願い、意見、要望とさせていただきます。
私は夢にチャレンジする場を与えてもらうことのできるこの八戸が大好きです。夢を持った若者が1人でも多くこの八戸で夢に向かってチャレンジすることができたらと心から思っております。新しいことや新たな事業に取り組まれていくことは、とても慎重な判断が迫られることだと承知しております。小林市長のリーダーシップのもと、中核市となり、よりパワーアップして前進し続けている当市の今後の市政運営にますますの御期待を申し上げ、以上で私からの質問を終わらせていただきます。